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「逃げ上手の若君」の舞台となる南北朝時代の魅力

2024年夏アニメの歴史系作品「逃げ上手の若君」は、南北朝時代を中心に北条時行にハイライトを当てた作品です。

 

本作を存分に楽しむためにも、南北朝時代について少し深ぼって理解しておくのがおすすめです。

 

南北朝時代とは

南北朝時代とは、後醍醐天皇足利尊氏との対立により、京都から吉野へと逃れた1336年から、足利幕府三代将軍である「足利義満」による南北朝合一を実現した1392年までの時代とするのが一般的です。

 

この時代、京都の北朝と吉野の南朝と二つの朝廷が存在し、同じ時代に二人の天皇がいてそれぞれが対立するという非常に珍しい時代でもありました。武家勢力の棟梁が北条家から足利家へと移り変わり、南北朝時代を経て室町時代が紡がれ、そして織田信長に滅亡される歴史を辿ります。

 

鎌倉幕府滅亡

南北朝時代は、鎌倉時代から室町時代へと移る序盤の一部の時代でもあり、その始まりは鎌倉幕府の滅亡です。

 

鎌倉幕府は、源頼朝によって12世紀末に開かれた幕府であり、武家勢力の中心であり頂点として君臨しました。鎌倉幕府には「執権」という実質的に政務を取り仕切る役職があり、この実質的な支配者が北条家となります。末期は、この北条家さえも傀儡となっている様子が本作でも描かれており、元弘の乱を経て滅亡となりました。

 

足利尊氏後醍醐天皇の対立

元弘の乱では、後醍醐天皇を中心に、楠木正成新田義貞、そして鎌倉幕府を見限った足利尊氏が味方側におりましたが、鎌倉幕府滅亡後に足利尊氏が政権中枢から除外されたなど何らかの理由により対立が表面化することとなります。

 

楠木正成新田義貞北畠顕家らによって足利尊氏は一度は京都を追われ九州へと逃れますが、ここで力をつけ、湊川の戦い楠木正成を討ち取ると、京都を奪還。尊氏は光厳天皇を擁立してのちに北朝を支持。後醍醐天皇比叡山から吉野へと逃れ、これが南朝に。

 

これにより、一つの時代に二つの朝廷、二人の天皇が存在する時代へと突入します。

 

南朝北朝

ここからは北畠顕家が敗れる「石津の戦い」や新田義貞が敗れる「藤島の戦い」までは南北朝の戦いが繰り広げるものの、足利勢力内部の権力闘争や家族間の対立など状況は混迷を極め、しまいには足利尊氏まで一時は北朝から南朝へくる状態に。

 

南北朝合一

この混迷極める時代の中、足利尊氏の孫の一人である「足利義満」が才覚を発揮し、南北朝合一を実現。さらに、政情の安定のために各諸勢力の力を削ぐなど政治の面で著しい成果をあげ、これが後に織田信長によって1573年に滅ぼされるまで続く室町幕府の礎となりました。

 

南北朝時代の魅力

しっちゃかめっちゃか

南北朝時代の魅力は、とにかくしっちゃかめっちゃかな点です。情勢が変わるたびに敵味方が変わるので常にハラハラ楽しむことができます。

 

また、二頭政治を実行していた尊氏と直義が途中で対立したり、息子である直冬とも対立したりと、足利家内部の闘争には思わずグッとくるものがあります。

 

多数の偉人の煌びやかな活躍

足利尊氏だけでなく、この時代には煌びやかな偉人たちが多数登場。楠木正成新田義貞北畠顕家など南朝方の勢力も魅力的な人物が多数存在します。皇居の楠木正成像の威風堂々っぷりは見る人全ての心を奪うほどの素晴らしいもの。ぜひ本作をご覧になった後に一度鑑賞しにいきたいところです。

 

まとめ

室町時代へと続く激動の歴史の境目である混迷極める南北朝時代。この時代の魅力を知ることで、「逃げ上手の若君」をより深く楽しむことができるでしょう。

 

歴史の教科書の中心人物ではない存在が、この時代をどう駆け抜けたのか、本作と一緒に楽しんでいきましょう。